不動産トラブル事例

不動産を購入する前や購入したのち、不動産会社とのトラブル、工務店とのトラブル、近隣とのトラブルなど、
さまざまな悩みと直面することも少なくありません。
今までに実際におきたトラブルを事例として紹介し、考え方や解釈の仕方などをご紹介いたしております。

売買代金の銀行振込では領収書は発行しない?

戸建てを購入し売主である宅建業者に売買代金を銀行振込で支払いました。領収書を1,000万円単位の大きな買い物なので領収書を交付してくれるよう要望しましたが、担当者から「銀行振込の控えが領収書代わりになります。」と言われました。領収書は発行しないと言われた場合、もらうことはできないのでしょうか。

民法486条

弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。

つまり、弁済をする者(買主)は、受取証書(領収書)と引き換えでなければ代金の支払いをしなくてもよいということです。領収書の発行なしでは、お金の授受がなされることは基本ありません。東京地裁(S47.9.18)では「銀行振込の場合でも領収証交付請求権は消滅しない」という判例がでています。

しかし、不動産の取引などで銀行振込の場合は領収書を発行しないことがあります。契約時に「買主は、残代金を振込みにて売主に支払うものとし、振込票をもって売主の領収書とします。」というような、取り決めを交わすこともあります。契約書や重要事項説明書の特約事項に記載があります。民法486条は任意規定のため「振込明細書をもって領収書の発行に代える」など事前に合意がある場合は、合意が優先になるため、領収書の発行は求められません。

なお、領収書を紛失した場合、再発行は困難です。代金の受け取り側には領収書の発行義務はありますが、再発行については義務ではありませんので売主は拒否することができます。