不動産トラブル事例

不動産を購入する前や購入したのち、不動産会社とのトラブル、工務店とのトラブル、近隣とのトラブルなど、
さまざまな悩みと直面することも少なくありません。
今までに実際におきたトラブルを事例として紹介し、考え方や解釈の仕方などをご紹介いたしております。

中古物件を購入した物件にシロアリがいた!

中古物件を購入したのですが、先日お風呂場にハネアリがいるのを発見しました。まさかシロアリ??と思い業者に確認してもらったらやはりシロアリでした。業者にはシロアリが発生してから1年程経っているのではないかと言われました。購入時の契約書と物件状況報告書には「シロアリ被害はありません。」となっており、瑕疵担保責任は引き渡しから3ヶ月となっています。既に引き渡しから3ヶ月以上経っていますし仲介業者に何かしらの対応をお願いすることはできないのでしょうか。

仲介業者が売買契約締結時までに建物のシロアリ被害を知っていたにも関わらず、更なる調査を促すなどの処置を取らなかった場合、買主に対する調査義務違反となることがあります。

シロアリ被害は建物の外見からは判明しづらく、素人は普通床下までは確認しませんし売主さんも気づいていない可能性があります。しかし、売買契約締結時に仲介業者がシロアリ被害を知っていた場合やシロアリ被害を伺わせる事情を知っていたり、現地調査をすれば外観から瑕疵を認識できたような場合は買主に対して調査・説明義務を負うことがあります。シロアリ被害に関して、売主側の仲介業者が建物のシロアリ被害について調査を尽くすよう促す業務上の注意義務を怠ったとして不法行為に基づく損害賠償義務を一部認容した裁判例もあります。


売主が瑕疵担保責任を負う期間は一般的には引き渡しから2ヶ月~3ヶ月程度、売主が不動産会社の場合は宅地建物取引法により期間を2年以上にしなければならない。


 

瑕疵とは、見えない欠陥や不具合のことをいいます。瑕疵に含まれるものには雨漏り・腐食・給排水管の故障・漏水・越境や境界などがあり、シロアリ被害も含まれます。売主が負う瑕疵担保責任は、物件を補修したり損害賠償に応じたり、欠陥が重大で住めないような場合は契約の解除を求められることもあります。民法の原則では、買主は隠れた瑕疵を発見してから1年以内に申し出れば、売主は瑕疵担保責任を負わなければなりません。民法の原則通りだと引き渡しから何年経っても買主が瑕疵だと言えば賠償などを請求できてしまいます。その為、売主に過大な責任を負わせることになるので期間を定めるケースがほとんどです。売主と買主の合意により売主の瑕疵担保責任を問わないとして契約をする場合もありますが、この場合は瑕疵を発見しても買主が負担を負うことになります。