不動産トラブル事例

不動産を購入する前や購入したのち、不動産会社とのトラブル、工務店とのトラブル、近隣とのトラブルなど、
さまざまな悩みと直面することも少なくありません。
今までに実際におきたトラブルを事例として紹介し、考え方や解釈の仕方などをご紹介いたしております。

中古物件購入後に気づいた欠陥、修理費用は誰の負担?

京都在住の会社員Aさん(40)は、築15年の中古一戸建て住宅をBさん(75)から購入、1カ月前に引き渡しを受けた。

売買仲介は不動産会社C社。ところが最近、2階の天井に黒い染みが広がり、雨漏りすることに気がづいた。

事前には聞かされていなかった欠陥なので修理費用を売主•仲介人であるBさん、C社に負担してもらいたいと考えている。

契約内容によっては、買主が費用負担する場合も

中古住宅の売買では、事前見学では分からなかった欠陥に、実際に住んでから気づくことがあります。民法では、このような引渡し後に見つかった欠陥について、売主が責任を負うと定めています。これが売主の瑕疵(かし)担保責任です。買主には損害賠償などを請求する権利が認められています。

一方で、実際の売買契約書では、買主側の権利はかなり制限されるのが通例です。欠陥の責任を長期にわたって売主に負わせるのは、負担が重すぎるとの考え方からです。

不動産各社でつくる不動産流通経営協会(東京・港)が、中古住宅の売買契約書のひな型を作っており、実際の取引で交わされる契約書の多くがこれを手本にしています。表は、ひな型で示された個人間売買契約の建物の瑕疵の補償に関するポイントを示しています。

ひな型では、物件引き渡し後3カ月以内に買主が修復費用を請求した場合に限って売主が責任を負うとしています。対象となる瑕疵の内容としては「雨漏り」や「シロアリの害」など4つだけです。老朽化が著しい住宅の売買契約書では、売主の責任はさらに限定されることがあります。中には、欠陥の状態にかかわらず責任を一切負わないとする契約もあります。

では、Aさんの例において、結んだ契約書が前述のひな型に沿ったものだったとしましょう。この場合、雨漏りに気づいたのは引き渡し後1カ月ですから、売主のBさんに請求すれば、契約上は修理費用を負担してもらうことが出来ます。

このように、契約内容によって費用負担に大きな違いが生じますので、法律や契約書をしっかり確認しておきましょう。

そして、購入の検討をしている中古物件に不安があるようでしたら、購入する前に専門家に調査をしてもらうこともおすすめします。最近は設計事務所や物件調査会社など中古住宅の物件を調査し評価してくれる会社がたくさんあります。また、中古住宅の瑕疵を対象とした保険制度も提供されています。これらの手法を使い、リスクを回避することも大切です。