不動産トラブル事例

不動産を購入する前や購入したのち、不動産会社とのトラブル、工務店とのトラブル、近隣とのトラブルなど、
さまざまな悩みと直面することも少なくありません。
今までに実際におきたトラブルを事例として紹介し、考え方や解釈の仕方などをご紹介いたしております。

隣地の下に通ている水道管や下水道管はトラブルになることがある!

購入した土地に、隣地の排水管が埋設され通過していることが判明しました。この様なことは通常よくある事なのでしょうか?隣地の方とトラブルにならない為にもどうすればいいのでしょうか。

土地を購入する際には、目に見える部分だけでなく地中に隣地の排水管が埋設されていないか事前にしっかり確認しましょう。

配管は前面道路の本管から真っすぐに敷地内へ引き込むのが原則ですが、配管が隣地の下を通ている場合や他人の配管が自分の敷地内を通ているということもあります。自分の住宅への引込管が隣地を通ていれば、隣地の人からすれば、建て替えの時に困るかもしれないし自分の敷地内や持分がある通路に移設してほしいと思うでしょう。そして漏水などが起きた時には責任を問われることになるかもしれません。自分の敷地内に他人の引込管が通ていれば建築時に支障が出るかもしれません。どちらにしても、埋設状況に問題があれば引き直すことを検討しなければなりません。

ただし、袋地(民法上は道路に接していない土地。道路との間に細い路地上の部分を持ち、主な敷地の大部分が道路と接していないような土地。)の場合、移設しようにも私道持分が無くどうにもできないこともあります。建築する時に隣地から承諾書や同意書をとっている場合もあります。この様な場合は、他人の土地又は排水設備にとって最も損害の少ない場所又は箇所及び方法を選べば利用できます。これは、裁判所でも容認されます。


【下水道法 第11条 排水に関する受忍義務等】

排水設備を設置しなければならない者は、他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、又は他人の設置した排水設備を使用することができる。この場合においては、他人の土地又は排水設備にとって最も損害の少ない場所又は箇所及び方法を選ばなければならない。


これらはたいてい水道局の埋設状況図面などで判明し、売買契約時には重要事項説明書などで説明されます。しかし、水道局の埋設状況図面が必ず正しいとも言えず図面と異なる場合などは現況通りとされるので注意しましょう。また、取り換え工事や引き直し工事は原則自己負担、長い距離の引込が必要になれば費用も高額になります。新たに引込をする時などは自治体や水道業者によって水道加入金が必要となることもあります。工事費用が発生するときは、売買契約の前に明らかにすることが大切です。