マンションの浸水リスクとは

近年豪雨災害が増加しています。国土交通省の試算によると、地球温暖化により将来豪雨時の降水量が全国平均

1.1倍、地域により1.4倍にまでなると言われています。首都圏では鉄柱が倒れ近隣住宅に被害をあたえたり、マンションの地下にある配電設備への浸水により停電するなど、日本全国どこでも自然災害に遭うリスクがあります。局地的な集中豪雨により河川の氾濫だけでなく、都市部でも下水道などから水が溢れる内水被害も増加しています。海沿いや川沿いでなくても浸水のリスクに備える必要があります。マンションだから大丈夫と思われるかもしれませんが、マンションでも浸水のリスクはあります。マンションの共用部の浸水被害でも、個人への損害が大きく深刻なのが地下駐車場やピット式機械式駐車場の浸水です。機械式駐車場の地下ピットには、侵入した雨水を排水するためのポンプなどが設置されています。しかし、水位がピットよりも高ければポンプでは排水できません。機械式駐車場に限らず、地下にはピットに水を溜め排水するシステムがありますが、そこから下水道などへの排水はほとんど勾配による自然排水のため、逆流した水がピット内に流れ込み浸水する可能性があります。

半地下などの少し道路より下がっているエントランスも当然ですが、浸水の可能性が高くなります。ゲリラ豪雨により排水が逆流し、トイレやお風呂から下水があふれ出る可能性もあります。マンションの場合はバルコニーの排水が追いつかず室内に流れ込むことも考えられます。さらに、電気施設やエレベーター設備が水没してしまうと当然階段での上り下りになり、電力でポンプを動かし最上階まで水を供給しているとすれば、水を使えなければトイレも利用できません。復旧も容易ではありません。マンションの場合は、高さがある分1階以外は戸建てのような復旧(水や泥の掻き出し・洗い流す・乾燥させる・殺菌消毒など)は不要ですが、設備を改修するとなると時間とコストが膨大にかかるでしょう。

大規模な洪水による被害を出さないためにも、経済的負担の制御と生活の保護が肝心です。その為にも、判断基準となる「内水氾濫ハザードマップ」を国土交通省が作成していない市区町村に作成するよう呼びかけをはじめています。近くに河川がなくても浸水リスクが指定されていることもあります。住む地域の「内水氾濫ハザードマップを」確認してみましょう。