定期借家物件が増えている!?

賃貸マンション市場で契約の期間が満了すれば更新をしない定期借家物件がじわりと増えてきている。定期借家制度は2000年に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」に基づいて導入されました。一般的な普通借家契約は、契約期間の2年が終了した後も原則契約は自動更新されます。貸主から契約を終了したいと思っても正当事由がなければ解約することはできません。定期借家契約は自動更新がなく、1年未満の契約も可能で生活ルールを守らないなどの悪質な入居者を未然に防ぐ方法として定期借家契約に着目する大家さんも増えてきました。また、物件の売却や取り壊しを希望している貸主にとっては契約終了の目途が立つため賃貸しやすい制度です。最近では、全戸が定期借家の物件も出始めています。賃貸市場に出にくかった都心の一等地の高級物件が多く出回るようになり住宅の選択肢も広がっています。

定期借家制度の特徴

  • 自動更新がないため、契約期間終了した後は更新がありません。契約期間終了後に貸主・借主が合意すれば再契約が可能です。入居者の質によっても契約を終了できる貸主メリットがあるため、今までは賃貸にできなかった一戸建てや分譲マンションなどの物件が増えています。
  • 書面による契約は当然のことですが、「この賃貸借契約は更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別の書面で作成し説明する義務があります。
  • 借主の中途解約は居住用の建物で床面積が200平方メートル未満のものについては、転勤・療養・親族の介護など、その他やむを得ない事情により借主が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から途中解約の申し入れができます。
  • 短期契約(1年未満)も可能なので、建て替えや単身赴任などの短期の入居希望者には利用しやすい物件です。契約期間が1年以上の場合、貸主が契約期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、貸主に対し「期間満了によって賃貸借が終了する旨」を通知する必要があります。

近年都心部では、大規模な再開発が相次ぎタワーマンションが急増し、高級分譲マンションが賃貸市場に流通しやすくなっています。高級住宅地の青山・赤坂・麻布がある港区は70㎡以上の物件では、募集物件の25%が定期借家となっています。定期借家は契約期限が決まっているため、収益の見通しも明確になり賃貸しやすいことが供給増につながりつつあります。