東京都心オフィス、エリアにより空室状況に差も

東京都心のオフィスビルの空室率が、新型コロナウイルスの影響で一変しています。9月の都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)の空室率は前月から0.36ポイント上がって3.43%だったが、渋谷区と港区は4%に達しています。募集賃料も5区平均より値下がり額が大きくなっています。空室率は、実際に空いているスペースと入居者の退去が決まり次のテナントを募集しているスペースの合計です。オフィスの賃料を決める指標になります。これまでは、空室はほぼゼロで募集をすれば、すぐに契約が決まる「売り手市場」でした。

平均空室率の上昇は7か月連続となり、5区内で最も空室率が高かったのは渋谷区で前年比0.17ポイント上がり4.48%となっています。今年3月以降は、IT企業中心に在宅勤務や経費削減の影響でオフィスを解約する動きがいち早く広がりました。そして、急速に空室が増えているのは港区で前年比0.41ポイント上昇し4.33%となっています。直近1ヶ月だけで見ても、都心5区全体の空室面積が東京ドーム4.5個分(約20万7,900平方メートル)にもなります。港区の賃貸面積は5区で最も広く、9月末の時点で約809万平方メートル、5区全体(約5294万平方メートル)の3割を占めています。港区は大規模オフィスが多く都心から距離のあるエリアの方が空室が発生しやすいと言われてきましたが、働き方の見直しに伴い本社オフィスの移転や分散などにより空室も発生しやすくなっています。空室率の上昇は賃料の下落につながります。5区の平均募集賃料は前年比0.39%(89円)安い2万2733円と2ヶ月連続で下落しています。新築ビル・既存ビルともに下落しており、最も賃料の高い渋谷区は0.37%(91円)下がり2万4813円、港区では0.54%(127円)下がり2万3232円となっています。

中小企業を中心に解約や面積縮小する動きが続いているため、都心でオフィス需要は鈍り入居者を確保するのは時間がかかりそうです。