遺産分割でもめる!相続税評価額と時価はちがう?

相続税の課税対象は、基本的には財産の時価に対して算出されます。土地の時価は3種類あります。路線価格方式による土地の時価は「相続税評価額」と呼ばれ相続税を計算する時に採用されます。固定資産税を計算する時に採用されるのが「固定資産税評価額」と呼ばれるものです。そして、「売買契約(他人同士)が成立する金額」これが本当の意味での時価になります。

≪相続税評価額≫

相続税評価額とは、相続税や贈与税を計算するための財産の評価額のことです。相続税評価額は、原則として被相続人が亡くなった時(相続開始時)又は贈与時の時価に対して課税されます。原則的に、土地は地目ごとに評価を行います。計算方法には路線価方式と倍率方式の2種類があります。どちらの計算方法を使うかは地域ごとに決まっており自由に選ぶことはできません。路線価方式は、路線価が定められている地域に属している場合に採用します。それ以外の地域では倍率方式で算出します。専門家へ相続税評価額算出の依頼を行うこともできますが、1つの土地で30万円程度の費用が発生します。

路線価方式=評価額=路線価(千円/㎡)×面積(㎡)×補正率

倍率方式=固定資産税評価額×国税局長が定める倍率

≪固定資産税評価額≫

固定資産評価額は、固定資産税を決める際の基準となる評価額のことです。固定資産評価基準に基づいて各市町村・各区が個別に決める評価額のことです。

≪実質的な時価≫

実際の不動産取引で売買された価格のことで、実勢価格ともいわれます。不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に、通常成立すると認められる価格のことをいいます。

遺産分割協議においては、原則時価(実勢価格)を基準に考える必要があります。路線価格はあくまでも「相続税」を計算するための価格にすぎません。土地の値段は分かりにくく、時価も変動していくため多くの場合は路線価を基準に話し合いをしますが、時価が路線価よりもはるかに高い場合は注意が必要です。遺産分割は話し合った時の時価で考えましょう。