2015秋にパリで21回目の「COP」気候変動枠組条約締約国会議が開催されました。この会議は地球温暖化対策に全世界で取り組んでいくための議論の場です。21回目の会議では2020年以降の温暖化対策について議論され、世界全体の削減目標の設定と途上国・新興国にも温暖化対策の自主的な取り組みを求めました。日本は2030年までに2013年比で温室効果ガス26%削減する約束草案を提出しています。また、業務(事務所ビル・デパート・小売業・学校・病院・飲食店等で使われた消費エネルギー)・家庭部門(冷房・暖房・給湯・動力・照明等で使われた消費エネルギー)は40%削減を目指しています。
住宅においても省エネ時代に突入しています。2017年4月建築物省エネ法に基づく省エネ適合判定が義務化されました。建築物省エネ法は建築物の省エネルギー化を促進するために2020年までに新築住宅を含む建築物の省エネ基準への適合を進めていくことを目的としています。対象は既存・新築・改修も含めたすべての建物で、建築物の所有者は《省エネ基準に適合している》と認定を受けると《省エネ基準適合認定マーク》を建築物や広告に表示することができます。認定マークがあれば売却や賃貸時のメリットにもなります。また、新築や改築計画が基準に適合し認定を受けると「容積率の特例」を認める内容が新しく導入されました。
住宅の省エネ性能向上の取組としては①外壁・窓等を通しての熱の損失防止。例として外壁の断熱材を厚くする、窓をペアガラス二重サッシにすることで冬は暖房エネルギー消費の削減に、夏は冷房エネルギーの削減につながります。②設備の効率化。照明・換気・給湯(エコキュート等)の設備の効率化を図り消費されるエネルギーを抑えます。③太陽光発電等による創エネ。太陽光発電等によりエネルギーを創出することで化石燃料によるエネルギー消費を抑えます。基準値は地域ごとに決められています。
今のところ一般的な住宅(小規模建築物)の省エネ基準の適合は努力義務(必要と認める場合、勧告・命令等)ですが、2020年以降の義務化を検討しています。(90坪を超える延床面積の住まいは対象ですので、省エネ基準に適合する必要があります。)さらに、省エネ基準を満たした住宅ストックの割合を2025年には20%に引き上げようとしています。省エネ対策は他人事ではありません。いつまでも快適で健康な生活がおくれる様にこの機会に省エネ住宅を積極的に検討するのもいいでしょう。