トラブル内容
高齢の買主が賃貸マンションの売買契約(融資利用特約なし)を締結した後、金融機関から融資を拒絶されたため、その後、売買契約を融資利用特約付の契約として改めて締結するよう求めたが、媒介業者は応じてくれず…。買主は、①融資利用特約が付されていないことについて錯誤があったこと ②売買契約当時認知機能障害により意思無能力状態であったこと ③媒介業者が融資利用特約の説明を十分に行わなかったこと、を主張し、売買契約の不成立または無効を求めて訴えを提起した。(ちなみに、買主は契約時に「融資が受けられなくても手持ちの資金で購入する」と述べており、また当初、軽度の認知機能障害であったと認定されていた。)
しかし、いずれの主張も、いずれの主張も、書面での確認を行い、重要書類に関して読み合わせによって双方間の意思を確認していることから、融資利用特約なしの契約を締結したことについて、媒介業者の責任はないと判断され、売買契約の不成立や無効、また媒介業者の説明義務違反も認められなかった。
判例からみる融資利用特約なしの注意点
融資利用特約なしの契約を締結するにあたって、以下の場合、社会通念上、媒介業者に責任を問えなくなると考えられているので注意が必要です!
☆融資利用特約がないことが明記されている契約書類に署名・押印をしたとき
☆融資利用特約がないことについて、媒介業者から書面による説明を十分受けたとき
☆売買契約締結時に自分が融資利用特約なしで構わないと意思表示したとき
一度、融資利用特約が付されていない売買契約を結んでしまった場合、媒介業者の責任を問うことはかなり難しいと考えられます。そのため、ローンを併用した不動産購入を行う場合、売買契約締結時までに融資利用特約の有無について十分に注意しておきましょう!