BLOG

2020年11月2日未分類

長期優良住宅見直しへ

国土交通省は、既存住宅の流通を活性化するために長期優良住宅制度では共同住宅に対する基準を見直して認定を促進したり、既存住宅に対して一定の性能があれば建築行為なしに認定する制度を創設します。

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅を指します。平成21年から始まった制度で「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアし認定を受けた住宅が「長期優良住宅」と呼ばれます。

 

≪長期優良住宅認定基準≫

・長期に使用するための構造及び設備を有していること。

(間取りの変更が可能・バリアフリーリフォームに対応できるなど・耐震等級2以上又は免震建築物など)

・居住環境等への配慮を行っていること。

(良好な景観の形成・居住環境の維持向上に配慮されている・)

・一定面積以上の住戸面積を有していること

(一戸建ては75㎡以上・一つのフロア床面積40㎡以上)

・維持保全の期間、方法を定めていること

 

認定住宅のほとんどが一戸建て住宅であることから共同住宅(賃貸住宅・分譲住宅)の認定を促進するための制度見直しでもあります。共同住宅は「劣化対策」「耐震性」「維持管理・更新の容易性」の基準を見直します。住宅そのものだけでなく、立地に対する考え方も検証し災害リスクへの対応を進める考えです。

2020年8月14日1UPアドバイス

マンション管理の新制度

6月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立・公布されました。「マンション管理適正化法」に規定される国の基本方針・地方公共団体による助言や指導等・管理計画認定制度などの新制度の施行に関して、地方自治体や専門家らとの意見交換が始まりました。

改正適正化法によりマンション管理で地方自治体の役割が強化されます。地方自治体主体の新制度は「マンション管理適正化推進計画の作成に関する基本的な事項(自治体が任意で策定する基本方針)」・「管理計画認定制度における認定基準、申請書類等(優良管理マンションを自治体が認定)」・「管理適正化のための助言・指導・勧告を行う判断基準の目安」この3つを項目に挙げました。

基本方針・管理適正化指針の概要案では、「管理組合・国・地方公共団体などの役割の基本事項」「長期修繕計画策定及び見直しなど」「管理組合によるマンション管理適正化指針に関する事項」などを示し、助言・指導・勧告を行う基準としては「管理組合の運営」「管理規約」「管理組合の経理」「長期修繕計画の策定・見直し」の項目を提示しました。新制度についての意見交換では「過去の大規模修繕工事の履歴を残しているか」「助言・指導・勧告を行う判断基準に管理組合が存在しないマンションへの対応を盛り込む」「5棟未満の長屋が区分所有とし存在しており、これをどう取り扱うか検討するべき」などといった意見もありました。この法案が成立すれば2022年に全面施行される予定です。

この制度に先行する形で、全国で最もマンションの多い東京都は「マンションの適正な管理の促進に関する条例」が制定されました。この条例の対象になるのは1983年末以前に建てられた高経年物件です。「管理組合の運営体制」「管理規約」「総会の開催状況」「管理費及び修繕積立金の設定状況」「修繕の計画的な実施」などを5年ごとに届け出る必要があります。届出のないマンションに対して、東京都は管理組合などの協力を得て書類その他の調査をすることができます。中古マンションの購入の際、交通や日当たり、部屋の面積といった基礎情報以外に、修繕積立金の不足や管理組合の活動状況など詳しく説明されることは少ないですが、この法案が施行されればマンションの管理状況も開示され、購入者の物件選びに大きく影響してくるでしょう。

2020年7月31日1UPアドバイス

定期借家物件が増えている!?

賃貸マンション市場で契約の期間が満了すれば更新をしない定期借家物件がじわりと増えてきている。定期借家制度は2000年に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」に基づいて導入されました。一般的な普通借家契約は、契約期間の2年が終了した後も原則契約は自動更新されます。貸主から契約を終了したいと思っても正当事由がなければ解約することはできません。定期借家契約は自動更新がなく、1年未満の契約も可能で生活ルールを守らないなどの悪質な入居者を未然に防ぐ方法として定期借家契約に着目する大家さんも増えてきました。また、物件の売却や取り壊しを希望している貸主にとっては契約終了の目途が立つため賃貸しやすい制度です。最近では、全戸が定期借家の物件も出始めています。賃貸市場に出にくかった都心の一等地の高級物件が多く出回るようになり住宅の選択肢も広がっています。

 

定期借家制度の特徴

  • 自動更新がないため、契約期間終了した後は更新がありません。契約期間終了後に貸主・借主が合意すれば再契約が可能です。入居者の質によっても契約を終了できる貸主メリットがあるため、今までは賃貸にできなかった一戸建てや分譲マンションなどの物件が増えています。
  • 書面による契約は当然のことですが、「この賃貸借契約は更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別の書面で作成し説明する義務があります。
  • 借主の中途解約は居住用の建物で床面積が200平方メートル未満のものについては、転勤・療養・親族の介護など、その他やむを得ない事情により借主が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から途中解約の申し入れができます。
  • 短期契約(1年未満)も可能なので、建て替えや単身赴任などの短期の入居希望者には利用しやすい物件です。契約期間が1年以上の場合、貸主が契約期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、貸主に対し「期間満了によって賃貸借が終了する旨」を通知する必要があります。

 

近年都心部では、大規模な再開発が相次ぎタワーマンションが急増し、高級分譲マンションが賃貸市場に流通しやすくなっています。高級住宅地の青山・赤坂・麻布がある港区は70㎡以上の物件では、募集物件の25%が定期借家となっています。定期借家は契約期限が決まっているため、収益の見通しも明確になり賃貸しやすいことが供給増につながりつつあります。

2020年7月13日1UPアドバイス

民法改正で「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ

民法改正により「瑕疵」という文言が使われなくなり「契約の内容に適合しないもの」という文言に改められました。改正前は「隠れた瑕疵」が存在する場合、売主は瑕疵担保責任を負うものとされていました。「瑕疵」とは目的物が通常の品質を欠いている状態で「欠陥のある状態」を意味します。

瑕疵担保責任とは、瑕疵の存在を知らなかった買主は定められた期間内に申し出れば、売主に損害賠償請求ができるほか、瑕疵によって購入の目的が達成できない場合は契約の解除ができました。しかし、そもそもどこまでを通常の品質とみなすのか判断が難しく専門家によっても解釈が分かれるなど曖昧でした。今回の改正により「通常有すべき品質・性能を欠いている場合」という基準から「契約の内容に適合しているかどうか(契約不適合責任)」という基準に変わりました。契約不適合責任では、客観的に瑕疵と言えるかどうかを問題とするのではなく、引渡された物件の種類や品質に関して契約内容に適しているかが問題になります。契約当事者の合意内容が基準となるため「どうゆう内容で合意したか」を明確にしておく必要があります。契約不適合責任の存続期間は買主が種類・品質に関して契約不適合を知った時から1年以内に売主に通知すれば権利が保全されます。契約不適合の内容としては「追完請求」「代金減額請求」「解除」「損害賠償」が定められています。

 

【追完請求】

売買契約の履行において、引渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約内容に適合しない場合に、買主が売主に対して、目的物の補修・代替物の引渡し又は不足分の引渡しを請求することができます。なお、契約不適合が買主の帰責事由による場合は、追加請求はできません。

 

【代金減額請求】

売買契約の履行において、引渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約内容に適合しない場合に、買主が売主に対して、代金の減額を請求することができます。契約不適合が買主の帰責事由による場合は、減額請求はできません。

 

【解除】

今回の民法改正では、債務者の帰責性は解除の要件として不要になり無催告解除することができる範囲が明文化されました。改正後の解除制度では「解除とは債権者を契約の拘束力から解放するための制度」だと考えられており、解除できる場面が広がったといえます。

 

【損害賠償】

瑕疵担保責任による損害賠償請求は売主の無過失責任でしたが、改正後は売主に帰責自由がない限り、損害賠償は請求されないことになりました。損害賠償請求の範囲も格段に広がり、履行利益(履行がされていれば、債権者が得られるはずであった利益)まで含まれることになりました。

 

契約不適合責任の規定はいずれも「任意規定」となり、契約書に記載がない場合は法律の規定が適用されますが、契約書に記載があるときは契約書の内容が法律よりも優先して適用されます。

2020年5月24日1UPアドバイス

SMSやアプリを使って業務効率化へ!

日本賃貸住宅管理協会の調査によると、日本全国の賃貸物件入居者のうち6.8%(約15戸に1戸)で家賃滞納が発生している。1ヶ月の滞納率は3.1%・2ヶ月以上は1.3%となっており、2ヶ月以上の滞納状態は家賃の未回収リスクが高まり賃貸住宅の採算率が悪化します。滞納することに慣れてしまうと悪質滞納者に変わることもあるため、管理会社からの素早い対応・マメな連絡が重要になります。

これまでは賃貸管理会社が家賃滞納者へ電話による連絡が主流でしたが、見知らぬ番号からの着信には出ない人も多く、電話が繋がらない場合は郵便や訪問による回収が大きな負担となっています。

ほとんどの場合、口座にお金を入れ忘れたため引き落としができない、新規契約で引落しのタイミングを勘違いしたなどが多く、こうしたミスは引落しの前に事前通知することで回避することが可能です。

SMSは電話番号さえわかれば、キャリアを問わずメールを送ることができます。仕事や移動中など日中は出られない人や夜間でないと繋がらないという人でもSMSであれば確実に短時間で一時滞納督促を完了することができ、滞納督促業務にかける時間を大幅に減らせることができます。

滞納督促だけでなく、更新や退去手続き・点検などのお知らせなどに利用できる入居者管理アプリも新しいサービスとして注目されています。管理会社からの一方的な通知だけでなく、入居者からの修理の依頼・各種手続き・書類の閲覧など便利な機能があります。不動産オーナー向けにも専用のアプリを利用してもらうことで、修繕報告や契約書のやり取りなどオーナーにとっても便利な機能を利用することができます。特に複数の不動産を所有するオーナーにとっては物件ごとに効率よく管理することが可能になります。

まだ新しいジャンルのサービスのため、次々と新機能が追加されています。入居者の個人情報や、重要なデータを扱うためセキュリティ対策は確認が必要です。必須の機能や使いやすさも見比べて選べば業務効率化を現実できます。