所有者が不明な土地が増えている!?所有者不明土地特措法11月15日一部施行へ

少子高齢化社会に伴い人口が減少する中で所有者が不明な土地が増えています。原因としては、所有権移転登記がされていないことです。最後に土地の登記を行った所有者が亡くなり、相続による所有権移転登記が行われないまま受け継がれ最終的な所有者が分からない土地が多くあります。このまま何も策を講じなければ北海道相当の規模まで増えるとされています。

東日本大震災からの復興のさい所有者不明の土地が復興の妨げとなり問題視されるようになりました。所有者不明の土地は整備もできず、荒れ放題になり災害の危険も高まります。そこで「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」で、所有者不明の土地を把握し自治体が所有者に代わって有効活用できるようにしました。

所有者不明土地特措法は主として3つの仕組みがあります。

所有者不明土地を円滑に利用する仕組み・・・反対する権利者がおらず、建築物(簡易な構造で小規模なものを除く)がなく現に利用されていない所有者不明土地についての仕組みを構築しました。

公共事業における収用手続の合理化・円滑化(所有権の取得) 国・都道府県知事が事業認定した事業について収用委員会に代わり都道府県知事が裁定します。審理手続きを省略・権利取得裁決・明渡裁決を一本化できるようになります。

地域福利増進事業の創設(利用権の設定) 都道府県知事が公益性等を確認し一定期間公告、都道府県知事が最大10年間利用権を設定できます。所有者が現れ、明渡を求めた場合は期間終了後に原状回復・異議がない場合は延長が可能です。

所有者の探索を合理化する仕組み・・・原則として登記簿・住民票・戸籍など客観性の高い公的書類を調査することができる。

土地等権利者関連情報の利用及び提供 土地所有者探索のために必要な情報(固定資産課税台帳・地籍調査票など)を親族等に限定して行政機関が利用することができます。

長期相続登記等未了土地に係る不動産登記法の特例 長期間相続登記がされていない土地について登記官により「長期相続登記等未了土地」として登記簿に記録することができます。

所有者不明土地を適切に管理する仕組み・・・所有者不明土地の管理のために特に必要がある場合に、地方自治体などから家庭裁判所に対して財産管理人の選任請求が行えます。

この対策以外にも2020年までに国土調査法や土地基本法の改正を視野に入れた施策も進め、土地所有者の把握と所有者不明の土地が発生しないようにするためです。登記官に所有者を特定する調査権限を与え所有者の死亡情報と登記情報を結び付け現在の所有者が誰なのか調べられるようになります。また、現在は任意となっている相続登記を義務図けることを検討します。土所有者不明土地特措法の施行から2021年3月31日までに所有権登記をする場合は登録免許税が免税となります。(法務大臣の指定がある場合のみ)