木材の高騰「ウッドショック」

昨年後半から木材の入手が難しくなってきており、価格の上昇や木造住宅の価格上昇・建設の遅れが懸念されています。住宅の柱や梁に使用する木材が歴史的な高値となり、林野庁は木材の加工業者や住宅メーカーに必要以上の買い付けを控えるよう要請しています。

住宅用の木材はアメリカ産が多く使われてきましたが、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増加し郊外に住宅を建てる需要が増加しているほか、船で木材を運ぶコンテナが不足していることなどが理由です。アメリカ・シカゴの取引所では、木材先物相場はこの1年で価格がおよそ5倍になっています。国内の住宅メーカーでは、国産の木材に切り替える動きも広がっていますが、国産の木材も価格が高騰しており、必要な木材を確保できないケースも出てきています。

このような「ウッドショック」が起きたのはこれで3度目です。1度目は1990年代アメリカで絶滅危惧種のフクロウの保護のため森林伐採の規制が進み木材の供給不足が起りました。2度目は2008年リーマン・ショック直前住宅の建設ラッシュとなり木材価格が上昇しました。木造住宅は、国内の新築住宅着工戸数の約6割を占めています。建築費用のうち木材価格は一般的に約1割程度といわれ、建築費用は数十万円単位で上がる可能性があると言われています。 農林水産省「木材流通統計調査」によると、杉の丸太の価格は去年の同じ月と比べ10%余り上昇しています。住宅メーカーなどが国産の木材を確保しようとする動きが要因ですが、国産の木材は林業や木材加工業の人手不足もあり流通量を急激に増やすことが難しい状況です。