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首都圏マンション市場: 2025年上半期動向と価格高騰

2025.07.25

2025年上半期 首都圏新築分譲マンション市場動向:価格は2年ぶりに上昇し過去最高を更新

1. 上半期全体の市場概況

2025年上半期(1~6月)の首都圏新築分譲マンション市場は、発売戸数が減少傾向にある一方で、平均価格が大きく上昇し、過去最高を更新しました。

  • 発売戸数: 上半期の発売戸数は8,053戸となり、前年同期比で11.2%減少しました。これは上半期としては4年連続の減少となります。
  • 初月契約率: 初月契約率は66.6%で、前年同期から0.4ポイント低下しました。地域別では、千葉県が72.7%と7割を上回った唯一の地域でした。東京23区は68.8%で、前年同期比5.4ポイント上昇しています。
  • 平均価格・㎡単価: 1戸当たりの平均価格は8,958万円、1平方メートル当たりの平均単価は135万円でした。これらの数値は、いずれも前年同期比で16.7%の上昇を示しており、2年ぶりに上昇し、上半期における最高値を更新しました。

補足資料:2025年上半期 首都圏新築分譲マンション市場 主要動向

項目 数値 前年同期比 備考
発売戸数 8,053戸 11.2%減 上半期として4年連続減少
初月契約率 66.6% 0.4ポイント低下
平均価格 8,958万円 16.7%上昇 2年ぶり上昇、上半期最高値更新
㎡単価 135万円 16.7%上昇 2年ぶり上昇、上半期最高値更新

2. 地域別の動向

地域別にみると、発売戸数では東京都下と埼玉県が増加したものの、主要地域では減少が見られました。一方で、平均価格は多くの地域で上昇し、特に東京23区では顕著な高騰を記録しています。

  • 発売戸数(地域別): 東京23区は2,964戸(前年同期比10.7%減)、神奈川県は1,874戸(同13.3%減)、千葉県は1,157戸(同36.3%減)と、いずれも2ケタの落ち込みとなりました。しかし、東京都下は908戸(同3.5%増)、埼玉県は1,150戸(同29.1%増)と増加に転じています。
  • 平均価格(地域別):
    • 東京23区: 1戸当たりの平均価格は1億3,064万円となり、前年同期比で20.4%の大幅な上昇を記録しました。これは過去最高値を更新し、初めて1億3,000万円を超えたことになります。東京23区の平均価格は、3年連続で1億円を超えています。
    • 神奈川県: 6,957万円(同12.4%上昇)となり、高値を更新しました。
    • 埼玉県: 6,551万円(同26.9%上昇)となり、こちらも高値を更新しました。
    • 千葉県: 5,738万円(同1.6%減少)となりました。これは前年に高額物件が売り出された反動によるものとみられています。

補足資料:2025年上半期 地域別市場動向

発売戸数

地域 発売戸数 前年同期比 備考
東京23区 2,964戸 10.7%減 2ケタの減少
神奈川県 1,874戸 13.3%減 2ケタの減少
千葉県 1,157戸 36.3%減 2ケタの減少
東京都下 908戸 3.5%増 増加
埼玉県 1,150戸 29.1%増 増加

平均価格

地域 平均価格 前年同期比 備考
東京23区 1億3,064万円 20.4%上昇 過去最高更新初の1億3,000万円超、3年連続1億円超
神奈川県 6,957万円 12.4%上昇 高値更新
埼玉県 6,551万円 26.9%上昇 高値更新
千葉県 5,738万円 1.6%減少 前年の高額物件の反動

3. 価格上昇の背景

首都圏マンションの価格高騰は、複合的な要因に起因しています。

  • 土地代や建築費の継続的な高騰が主要な背景として挙げられます。
  • 物価高や人件費の上昇も影響しています。
  • 供給側が高値で売れやすい立地に絞り込んで物件を供給する動きが目立つことも一因です。
  • 海外からの投資も高額化を後押ししているとみられており、これらの要因が重なり、一般の消費者にとって新築マンションはますます「高根の花」となっています。

不動産経済研究所の上席主任研究員である松田忠司氏は、人件費の上昇が続いていることから、今後もマンション価格は緩やかに上昇するとの見方を示しています。

4. 今後の見通し

2025年下半期には、東京23区を中心に注目される大規模物件の供給が予定されており、これにより供給戸数は回復する見込みです。

  • 下半期の供給戸数は1万5,000戸程度と予測されています。
  • 年間を通じた供給戸数は約2万3,000戸となり、2024年の2万3,003戸とほぼ横ばいになる見込みです。

また、6月末時点の販売在庫数は6,026戸で、前月末より155戸増加しています。7月の発売戸数は1,500戸程度が見込まれています。

補足資料:今後の供給見通しと在庫状況

項目 数値 備考
2025年下半期予測供給戸数 15,000戸程度 東京23区中心に大規模物件始動
2025年年間予測供給戸数 約23,000戸 2024年とほぼ横ばい(2024年実績23,003戸)
6月末時点販売在庫数 6,026戸 前月末比155戸増加
2025年7月予測発売戸数 1,500戸程度

参考:2025年6月度 首都圏新築分譲マンション市場動向(単月)

首都圏全体の6月単月の動向も発表されています。

首都圏全体の月次動向(2025年6月)

項目 数値 前年同月比 前月比
発売戸数 1,641戸 1.3%減 27.4%増
初月契約率 61.0% 5.4ポイント低下 3.1ポイントアップ
平均価格 9,165万円 11.8%上昇
㎡単価 136.4万円 12.0%上昇
販売在庫数(6月末) 6,026戸 155戸増加(前月末比)
即日完売物件 1物件15戸 ルネ柏ディアパーク2期2次
超高層物件発売 11物件319戸 契約率69.3%
フラット35登録物件戸数 1,369戸 全体の83.4%

地域別発売戸数(2025年6月)

地域 発売戸数 シェア 前年同月比
東京23区 605戸 36.9% 1.9%増
東京都下 239戸 14.6% 231.9%増
神奈川県 358戸 21.8% 12.9%増
埼玉県 213戸 13.0% 35.7%増
千葉県 226戸 13.8% 56.7%減
東京都合計 844戸 51.4%

地域別平均価格・㎡単価(2025年6月)

地域 平均価格 前年同月比 (価格) ㎡単価 前年同月比 (㎡単価)
東京23区 1億3,205万円 13.1%アップ 205.6万円 10.6%アップ
東京都下 8,063万円 42.5%アップ 119.5万円 39.3%アップ
神奈川県 6,896万円 4.7%アップ 102.3万円 0.3%ダウン
埼玉県 5,823万円 3.5%ダウン 86.1万円 2.4%ダウン
千葉県 6,258万円 0.6%アップ 84.7万円 1.0%アップ