2017年から新たな住宅セーフティネット制度がスタートしています。この制度は高齢者・障害者・子育て世帯の住宅の確保に配慮が必要な方が増加する一方で、公営住宅の増加は見込めない状況です。そこで民間の空き家・空き室を活用した新たなセーフティネット制度がスタートしました。新たな制度は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度・登録住宅の改修や入居者への経済的な支援・住宅確保要配慮者に対する居住支援から成り立っています。
住宅確保要配慮者とは、改正法において低所得者・被災者・高齢者・障害者・子育て世帯と定められています。低所得者は公営住宅法に定める算定方法で月収(政令月収)が15万8,000円以下の世帯、子育て世帯は18歳未満の子供がいる世帯、省令において外国人などが定められています。さらに、地方公共団体が供給促進計画を定めることにより住宅確保要配慮者を追加することができます。
1・住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
賃貸住宅の賃貸人の方は住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として都道府県・政令市・中核市にその賃貸住宅を登録することができます。都道府県などでは登録された住宅情報を住宅確保要配慮者の方々に提供しています。
登録をする際は、規模・構造などについて一定の基準に適合する必要があります。耐震性があること、住戸の床面積が25㎡以上あることが求められます。シェアハウス(共同居住型)の場合は専有居室9㎡以上確保すれば足りますが、住宅全体の面積が15㎡×居住人数+10㎡以上であることや、台所・食事室・洗面所・トイレ・浴室などを適切に設けることが求められます。この登録基準は、地方公共団体が供給促進計画を定めることにより強化・緩和することができます。入居を受け入れる住宅確保要配慮者の範囲を限定することも可能です。
2.登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
登録住宅の改修への支援として改修費に対する補助制度があります。補助対象工事には、共同居住用住居に用途変更するための改修・間取り変更・耐震改修・バリアフリー改修工事・住居のために最低限必要と認められた工事などがあります。入居者への経済的支援として家賃と家賃債務保証料の低廉化に対する補助があります。
3.住宅確保要配慮者に対する居住支援
都道府県が住居支援活動を行うNPO法人などを賃貸住宅への入居に係る情報提供・相談・見守りなどの生活支援・登録住宅の入居者への家賃債務保証等の業務を行う居住支援法人として指定することが可能になりました。その他にも、生活保護受給者の代理納付に関する新たな手続きが設けられ、家賃債務保証業務を適正に行う業者を一定の要件を満たせば国に登録する制度が創設されました。
住宅確保要配慮者を積極的に受け入れることで、空き家・空き室の解消を見込むことができます。また、家賃滞納などのリスクがあった入居者も国と地方公共団体からの家賃低廉化措置により安心して受け入れることができます。住宅の老朽化を改修するには費用がかかりますが、住宅金融支援機構から支援を受けることで、通常より行いやすくなります。