2020年の東京オリンピックを控え民泊は宿泊施設不足の救世主とも言われ、特に外国の方に人気という印象があります。民泊に注目が集まる理由の一つに訪日外国人観光客の増加があげられます。10年前と比較すると日本を訪れる外国人観光客は約670万人から約3倍の1970万人に増えています。日本政府は経済成長の柱の一つとして観光立国化を推進しており、2030年までに6000万人まで増加させるという目標を掲げています。観光地周辺では年々増加する外国人観光客向けの宿泊施設の確保が追いつかず、そこで「空き家や持ち家などの一部を貸し出そう」という取組が始まり民泊サービルが広がっていきました。
民泊とは、自分の家ではなく他人の家(民家)に泊めてもらうことを意味します。無償で食事や寝床を提供してもらうというのが民泊の基本的な考え方になります。しかし、現在は空き家や空き部屋を所有している人が観光客などを対象に宿泊業を営むというビジネスモデルのことを民泊として定義するようになっています。無償ではなく有償で提供することになります。一時的に部屋を提供することは民泊ですが、常時宿泊者の受入れを行っている場合は旅館業に該当することが問題点となっています。日本で民泊事業を行うには、旅館業法簡易宿所・特別民泊のいずれかの法律や条例に則り申請を行う必要がありました。申請にはコストも時間もかかるため無許可で営業する人が急増したことを受けて、政府は住宅宿泊事業法を改正し無許可の民泊事業に対して罰則を強化しました。
■住宅宿泊事業法(民泊新法)
都道府県知事に対して「届出」をすれば旅館業法の許可がなくても民泊を運営することができます。ただし、1年間の営業日数の上限が180日以内と定められています。上限を超えて営業したいのであれば旅館業法(簡易宿所)で営業することになります。無許可で営業した場合上限100万円の罰金もしくは6ヶ月以下の懲役刑が科せられます。無許可で利用者に被害が生じた場合は、重罰が科せられる可能性もあります。民泊を始めるにはまず行政への申請と届出が必要です。個人事業として行う場合は税務署に開業届を提出する必要があります。
■民泊の種類
農家民泊・・・農業や漁業を営んでいる民家に体験型の宿泊施設として利用するものです。
イベント民泊・・・大規模なイベント開催時などに宿泊施設の不足を補うために一時的に認められる民泊で、自治体からの要請で許可が与えられます。
特別区民泊・・・国からの認定が必要で、国家戦略特別区域に指定された地域のみ民泊ができます。条件としては、宿泊日数が2泊3日~9泊10日の範囲内(自治体の定める期間以上)・近隣住民に対して適切な説明等の調整ができること・滞在者名簿を備え付けていること・一居室の床面積が原則25㎡以上あること。
国も国家戦略として民泊ビジネスを後押ししています。これから民泊を始めようとする場合は民泊に積極的な自治体を探してみましょう。民泊ならではの貴重な体験や、別荘などの個性的な物件に宿泊することもできます。民泊を上手く活用すれば旅行者にもホストにも大きなメリットが生まれるでしょう。