国土交通省は「制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度に関する検討会」（座長：犬塚 弘弁護士）を設置し、4日、初会合が行われた。
2009年10月の住宅瑕疵担保履行法完全施行から約1年3ヵ月で10年目を迎えることから、ストック活用型社会への転換による既存住宅流通・リフォーム市場の重要度拡大など市場環境の変化を踏まえながら、制度の検証とさらなる消費者保護の充実を検討するのが目的です。既存住宅流通・リフォーム等に係る住宅瑕疵保険等のあり方を筆頭に、紛争処理制度や事故情報活用促進などの消費者保護の充実、保険料水準の検証などを主題として捉えていきます。
同省住宅局住宅生産課長の長谷川 貴彦氏は「住宅瑕疵担保履行制度は、単に欠陥があったら保険金が下りるという制度ではなく、事故が発生した際の紛争処理や保険引受時の現場検査、そして既存住宅やリフォームへの拡大など、大きく育っています。今後約2年かけ、検討すべき点をとりまとめたい」と抱負を述べました。
会合では、住宅瑕疵担保履行制度に関する各種データを公表しました。住宅の瑕疵担保に係る資力確保措置が講じられた新築住宅は、累計で約674万戸でした。
うち324万戸が供託によるもので、約350万戸が住宅瑕疵担保責任保険によるもので、既存住宅売買瑕疵保険の申込件数（17年度）は1万3,864件です。既存住宅流通戸数に対するシェアは8.2％となりました。保険加入で住宅ローン控除制度が利用できること等を事業者がアピールするなどした結果、シェアは5年間で3倍強に伸びました。ですが、このうち1万1,798件は買取再販など宅建業者販売タイプで、個人間売買（検査保証）は1,802件、個人間売買（仲介保証）は264件にとどまっています。リフォーム瑕疵保険の申込件数（17年度）は4,145件、09年度からの累計は約3万2,000戸でした。
また、住宅瑕疵担保責任保険の事故率と累計支払保険金額は、新築が0.194％・約50億6,950万円、既存住宅売買瑕疵保険（宅建業者販売）が1.526％・約2億9,490万円、同（個人間売買）が2.672％・約1億5,250万円、リフォーム瑕疵保険が0.825％・約7,850万円と、既存住宅売買瑕疵保険が相対的に高くなっていました。
実際に参加した委員からは、「既存住宅流通・リフォーム活性化の各種施策を横断的に比較していかないと、見直すべき点がみつからない」「大手流通会社の自社保証についても効果があると認めていくべきではないのか」「検査事業者や宅建事業者など、実際に顧客の反応をみている現場の声を聞きたい」といった意見が出てきました。
事務局からは、4月スタートの「安心R住宅」制度における標章付与件数等も含めて、さらに詳細な関連データを次回の会合で示したいという意向が表明されました。また、犬塚座長も「既存住宅の事故率が高いということは、消費者の安全安心を促進するために保険普及は避けては通れないということです。保険法人等によるワーキングを設けるべき」とコメントしました。