マンション管理の新制度

6月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立・公布されました。「マンション管理適正化法」に規定される国の基本方針・地方公共団体による助言や指導等・管理計画認定制度などの新制度の施行に関して、地方自治体や専門家らとの意見交換が始まりました。

改正適正化法によりマンション管理で地方自治体の役割が強化されます。地方自治体主体の新制度は「マンション管理適正化推進計画の作成に関する基本的な事項(自治体が任意で策定する基本方針)」・「管理計画認定制度における認定基準、申請書類等(優良管理マンションを自治体が認定)」・「管理適正化のための助言・指導・勧告を行う判断基準の目安」この3つを項目に挙げました。

基本方針・管理適正化指針の概要案では、「管理組合・国・地方公共団体などの役割の基本事項」「長期修繕計画策定及び見直しなど」「管理組合によるマンション管理適正化指針に関する事項」などを示し、助言・指導・勧告を行う基準としては「管理組合の運営」「管理規約」「管理組合の経理」「長期修繕計画の策定・見直し」の項目を提示しました。新制度についての意見交換では「過去の大規模修繕工事の履歴を残しているか」「助言・指導・勧告を行う判断基準に管理組合が存在しないマンションへの対応を盛り込む」「5棟未満の長屋が区分所有とし存在しており、これをどう取り扱うか検討するべき」などといった意見もありました。この法案が成立すれば2022年に全面施行される予定です。

この制度に先行する形で、全国で最もマンションの多い東京都は「マンションの適正な管理の促進に関する条例」が制定されました。この条例の対象になるのは1983年末以前に建てられた高経年物件です。「管理組合の運営体制」「管理規約「総会の開催状況」「管理費及び修繕積立金の設定状況」「修繕の計画的な実施」などを5年ごとに届け出る必要があります。届出のないマンションに対して、東京都は管理組合などの協力を得て書類その他の調査をすることができます。中古マンションの購入の際、交通や日当たり、部屋の面積といった基礎情報以外に、修繕積立金の不足や管理組合の活動状況など詳しく説明されることは少ないが、この法案が施行されればマンションの管理状況も開示され、購入者の物件選びに大きく影響してくるでしょう。