洪水対策の強化でダム政策見直しへ

政府は昨年10月の台風19号で大きな被害が出たのを機に、国が管理する「1級水系」にある発電用・農業用水用などの利用ダムを洪水調節に活用するダム政策の見直しを進めました。治水に利用してこなかった発電用などのダムを全国的に活用して洪水を防ぐことが目的で、人工知能によるダムの水量管理も検討しています。1級水系だけでなく2級水系のダムの見直しも進めています。2級水系のうち、水害が生じた水系や貯水容量の大きなダムがある約80水系でダム管理者らとの協定を締結する見通しです。 ダムは、治水・発電・農業用水・工業用水など目的ごとに容量が設定されており他の目的で活用することが難しく全国900のダムは洪水対策に使われていませんでした。発電ダムについては豪雨対応の放流で発電量が減った場合、電力会社に補償する仕組みを創設しました。発電ダムを含めた全国すべてのダムの運用を見直せば、洪水調整可能容量は46億立方メートルから91億立方メートルに増えることになります。ただ、事前放流によってダムの空き容量を増やしておく対策には3日程度が必要で、雨雲の動きが予測しづらい梅雨前線による豪雨などの対応には課題が残っています。