不動産トラブル事例

不動産を購入する前や購入したのち、不動産会社とのトラブル、工務店とのトラブル、近隣とのトラブルなど、
さまざまな悩みと直面することも少なくありません。
今までに実際におきたトラブルを事例として紹介し、考え方や解釈の仕方などをご紹介いたしております。

新築予定の住宅が「隣地境界線から50センチ以上離れている」必要がある?

現在、私が住んでいる住宅を建て替える予定があり、まだ設計の段階なのですが、お隣の住宅の方から「お宅が建てる予定の住宅が、隣地境界線から50センチ以上離れていないから、直さないなら訴える」と語気を荒げて言われたのです。

私は初耳で、このような規定があることを知りませんでした。

他の住宅を見てみると、建物の幅が基礎の幅よりも大きく出ているところも見られますので、具体的に隣地境界線とはどのようなものなのでしょうか。

「隣地境界線から50センチ以上離れる」という規定は民法上の規定によるものですが、些細なトラブルは避けてください。

民法上の規定での「隣地境界線」では、隣地境界から建物距離は50センチ以上離すとされています。

その規定を守らない場合は、隣地の所有者はその建物の建築の中止、変更をさせることができる、とされています。

加えて、建築に着手したときから1年経過した場合、もしくは改善されずにその建物が完成した場合は、損害賠償の請求のみですが、することができるとされています。

しかし、その民法上でも236条の規定により「周辺地域に異なる慣習がある場合にはそれに従う」とも書かれています。

 

ちなみに、建築基準法では第一種低層住居専用地域や、第二種低層住居専用地域内である場合や、条例や地区計画などで特別に定められている場合であれば、それを守る必要はあります。

通常の一戸建て住宅では、隣地境界から建物距離の規定はありません。

 

住宅の建て替えや増築などでは、このような「越境トラブル」が珍しくありません。

ですので、面倒がらずにしっかりと書面で取引をすることも有効です。

購入後、完成後に隣地とのトラブルになることは往々にしてあります。

 

越境しているかどうかのポイントは、隣地との境界線が確定してからでないと、はっきりとした決定にはなりません。

そして、必ずしも隣地との間にある境界塀が境界線、ということにはなりません。

境界線がしっかりとわかれば、目視でフェンスや植木の枝葉がある程度わかりますので、確認してください。

地中の越境に関しては、水道管やガス管などがないかを、売り主や隣地の方に尋ねることも必要です。

もし、越境があると考えられる場合には、書面によって「越境の解消を条件とする」と施工の段階できちんと決めてください。

万が一引き渡し日までに越境が解消できない場合は、手付金の返還、契約の解約とする、という文章を付け加えて、万が一のための契約をしておくのが最善です。

 

また、隣地の所有者のフェンスや軒などの越境がある場合には、突然の費用や工事費用などが発生するため、契約前の撤去が困難なこともあります。

その場合でも、覚書などの書面で、隣地の方と直接取り決めておくことが大切です。

 

このようなことは、親切な不動産会社であれば当然上手に取り引きをして、スムーズに契約を交わしていってくれます。