Information Column

投資についての最新情報などを掲載

告知義務はいつまであるのか?

告知義務はいつまであるのか?

自殺のなどの事故賃貸物件は、事故が起こった後の最初の入居者だけに伝えればいいのか?その後の入居者に対しても伝える必要があるのか?事故が起こった部屋が隣だったら?入居者にはどこまで伝える必要があるのでしょうか。

 

事故賃貸物件などには心理的瑕疵があると判断され、次の入居者の契約時には告知義務が生じます。重要事項説明書への記載と契約者への告知が必要です。2020年の改正民法施行後は、「瑕疵」から「契約不適合」という用語に変わり、物理的・心理的な面を含めて契約不適合にならない様に告知義務の範囲を判断することが求められます。告知義務については法律できっちりと定まっているわけではありません。これまでの判例を見ても、事故物件の告知義務の判断基準に明確なものが存在せず、そのときの状況で判断されます。

 

【過去の事例】

事故内容:マンションの1戸で1年数ヶ月前に自殺があった。このマンションの部屋を貸し出す際に、貸主は入居者へその事実を告げなかった。

裁判判決:1年数ヶ月前に自殺があった事実は、当該建物を賃貸して居住することを事実上困難にする可能性が高く、信義則上告知すべき義務があった。(2014年大阪高裁)

 

事故内容:都市部の賃貸マンションの一室で入居者が自殺したことによる貸主の損害について争われた。

裁判判決:都市部のワンルームであり、近所つきあいが希薄であることを考慮すれば、本事件後最初の入居者には本事件を告知する義務はあるが、次の入居者には特段の事情がない限り告知する義務はない。(2019年東京地裁)

 

告知義務の期間は、事故後初めて入居する賃借人には告知義務があるとしていますが、次の賃借人からは特段の

事情がない限り告知義務は生じないとしています。事故後最初の入居者が短期契約の場合などは注意が必要です。

判例では、事故から2年経過すれば次の賃借人に告知義務はないとした判決や3年経過が必要とする判例もあれば、社会に大きな影響を与えた事件などは10年以上経っても告知義務があるとされる場合もあります。

 

告知義務はトラブルを防止するためにあります。入居者がその物件を借りるか、借りないかという判断に大きく影響する事項は告知しないといけません。

・広告に「告知事項あり」の記載がある

・一部の部屋だけリフォームしている

・賃料が同じ条件の物件より安く設定されている

・建物名称が変更された

など、自分で確認する際は上記のようなことに気をつけて調べましょう。

その他カテゴリの最新記事